Seiko Mikami/ 三上晴子 Desire of Codes/ 欲望のコード 

"Desire of codes/欲望のコード" はインタラクティヴ・インスタレーションで120個の動くストラクチャーが観客の動きに虫のようについてくる。この個々のストラクチャーが出す生のカシャという音が角度によって異なり、全体として生物体がざわめくようなサウンドになっている。ベルリンの多くの観客がこの音は虫であると言い、また別の観客は、これは機関銃の音であると言った。この120個のストラクチャーにはLEDライトが取り付けられ、1−20の輝度の変化で観客の動きに反応し、小型のセキュリティーカメラが内蔵され観客を監視している。2007年10月からのイギリスとバルセロナでの展示までには超小型マイクも内蔵する予定である。壁には19のセンサーが設置され、このセンサーは超音波 と赤外線を合体させたオリジナルである。観客が動きを止めると、作品郡も動きを止め、空間は静まりかえる。

 

" Desire of Codes" at open studio at TESLA Berlin and Berlin transmediale.2007


「Desire of Codes/欲望のコード」という作品は、現代の情報化社会における個の存在をテーマとしている。「データとしての身体」と「ここに居る肉体」との亀裂を意識した作品になっている。 例えば、私がインターネットのAmazon.comで友人の誕生日のプレゼントに「クマのぬいぐるみ」の本を購入したとしよう。そうなるとインターネット上のデータでは私は「クマのぬいぐるみに興味がある人物」と認識される。そして「この本を買った人はこんな本も買っています」というメールが届く。そうなると「クマのぬいぐるみが好きであろう人物」のデータが次々と私の前に現れる。私自身はぬいぐるみ全般に全く興味がないとしても一度打ち込まれた「欲望の情報」は消える事はなく、増殖していくのだ。もし、あなたが昨日購入したもの全てのレシートやカードのデータがここにあるとしよう。朝にある店でパンを買った、この電車でここに行った、aという場所でa’を購入した、こんなビデオを借りた、など。これらのデータの羅列から本当のあなたの姿が浮かび上がるという分析もあるが、果たしてこのデータがあなたなのか?あるいは、目の前に現実にそこにいる肉体があなたなのか?もしあなたのIDやコードが欲望をもったら?個人情報の管理の問題は、今後も加速していくであろう。例えば住基ネットに代表されるように1つのコードでパス[sm-doc03.jpg] ポート、クレジットカード、年収、支出、納税額、交通違反歴、各種のポイントカードや病院の通院歴など、あらゆる個人の行動がひとつのコードに情報化されていく可能性も否めない。 それ以上に、それがあなたの病院の病歴記録だけではなく、あなたのおじいさん、さらに祖先までが何の病気で亡くなったのか?というDNA解析もデータとしてコード化されてしまえば、あなたが何の病気になるであろうという予測まで、そのコードで解析されていくであろう。DNAもコードである。

Desire of Codes Main controller and10 mobile machine controllers

私は単にこのような事に警鐘をならすために作品をつくっているのではなく、冒頭に述べたように「データとしてのあなたが本当なのか」、「そこに現実に存在する肉体があなたなのか」という存在の問題を表現しているのである。コードが欲望を持つならば、それは我々の欲望であると言える。このようにして、この海外研修から、私の作品コンセプトは、「知覚としての身体」から「情報社会における個人」へとシフトし、よりソサエティーの問題に深い関わりを持つようになった。

 

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